会報『JAGDA Report』198号 ここまデでザイン
デザインの年鑑や雑誌など、メディアを通して目にするデザインにはどのような舞台裏があるのだろう? デザイナーは一体どこからどこまで仕事をしているのだろうか? そのような素朴な疑問から、「ここまで」の「で」と「デザイン」の「デ」が入れ替わった「ここまデでザイン」という一風変わったタイトルの企画を立ち上げた。社会が新型コロナウイルスへの対応で右往左往する最中で、全3回のオンライン形式、合計27名の公開プレゼンテーションによる取材を行い、職域のアウトラインを探りながら、その事例を会報にまとめて収録することになった。
取材を通じて、仕事を成功に導くために工夫し、苦心し続けるデザイナーのさまざまな日常を垣間見ることになったが、そこまでお節介を焼くのかという「ここまデ」、そんなところから切り込むのかという「ここまデ」、そこまで深く掘り下げるのかという「ここまデ」、あえてそこまでしかやらない「ここまデ」など、どの「ここまデ」も魅力的な内容で、アウトプットのデザインにも劣らない、多数の個性的なアプローチを参照することができた。
ここに収録されたさまざまな「ここまデ」の事例が、デザイナーの職域と職能について考える一助になればと思う。
JAGDA会報委員長 色部義昭
JAGDA Report 198号
ここまデでザイン
視覚化されたものの背後で、
グラフィックデザイナーは
何をしているのか
内容:
・ここまデでザインマトリクス
・会報委員 座談会〈前編〉
・オンラインイベントレポート
第1部 つくるものからデザイン
・鳥瞰と虫瞰、二つの視点で芸術祭をデザインする|永原康史
・昔ながらの定番菓子を次世代に向けてアップデートする|増永明子
・サブスクサービスの体験時間を拡張する冊子の制作|小玉千陽
・政策に「デザイン」を取り込み、地域の振興を図る|足立佳茂
・人と人、地域と地域をつなげるイベントづくり|轟 久志
・チラシのデザイン依頼に、広報すべき企画から提案する|羽田 純
・[コラム]領域やメディアを行き来する「ここまデでザイン」
第2部 下準備のデザイン
・大勢の子どもたちが参加する絵本の撮影システムをつくる|山本晃士ロバート
・視覚的な階層性を導入して辞書をデザインする|中野豪雄
・少部数多品目のパッケージデザインを自動生成する|岡本 健
・コンセプトブックで地域のデザイン方針を統一する|鎌田順也
・チームでつくり上げるスキンケアブランドのSNS運用|正田冴佳
・予算管理とデザイン性を両立させるサイン計画|木住野彰悟
・[コラム]コミュニケーションの土台をつくる「ここまデでザイン」
第3部 寄り添うデザイン
・イベント会場の商品管理や接客を自ら率先して行う|居山浩二
・自治体のクリエイティブに関わる課題をサポートする|天宅 正
・空間からメニューまでデザインする店づくり|相澤千晶
・デザインの効果を知ってもらう提案を重ねる|久能真理
・あらゆることに関わりながらプログラムをつくる|和田武大
・事務機器メーカーの現場作業着をリニューアルする|金井あき
・[コラム]個人の「問い」を投げかける「ここまデでザイン」
・会報委員 座談会〈後編〉
発行:2022年8月31日
編集:JAGDA会報委員会
編集協力:長田年伸/野口尚子
ブックデザイン:福岡南央子
体裁:B5正寸/88頁/カラー
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