「ヒロシマ・アピールズ 」ポスター2023(デザイン:中村至男)
デザイン:中村至男
タイトル:人差し指
制作コメント:
先の戦争は、物心がついた時にはもう教科書の中の昔の出来事だった。ながく平和だと思いこみ育ってしまったが、歳を重ねるほど、この世界の危うさに自分の甘さを思い知る。震災、原発事故、疫病や戦争……想像を超えることが次々と起きる時代を生き、わかったつもりで世界を憂いても、核兵器使用?まさか、と心の底に一粒の傍観が残る自分に今一度問いたい。
このポスターを制作しながら、手元のスマホに目をやると、まさに広島からG7サミットが生中継され、各国首脳陣が原爆資料館を出て記念碑へと向かっている。核兵器は人間の所業に他ならない。人が起こすことは人が止められるのだ。
そんなことを想いながら1945年と地続きの”今”を表現した。この指は人間の弱さの象徴である。「人差し指」と名づけたこの一枚。2023年、広島からの訴えをつなぐ鎖のひとつになれたらと願っている。
展示情報:
7月30日(日)~8月7日(月)
「ヒロシマ平和ポスター展 2023」にて、これまでの「ヒロシマ・アピールズ」ポスター全作品、JAGDA広島・長崎・沖縄地区会員の作品、「広島平和ポスター学生コンペティション」選出作品とともに展示
(会場:合人社ウェンディひと・まちプラザ 北館4F ギャラリーA・B)
7月31日(月)~8月13日(日)
広島市内のバス停に、本ポスターのデザインを掲示
9月1日(金)〜10月19日(木)
「日本のグラフィックデザイン2023」展にて、本ポスターおよび第1回「ヒロシマ・アピールズ」ポスター(亀倉雄策/1983年)を展示
(会場:東京ミッドタウン・デザインハブ)
販売情報:
B1サイズ(w728mm×h1,030mm)/1枚1,100円(税込)
広島平和記念資料館、広島市平和記念公園レストハウス、広島市現代美術館、JAGDA事務局(東京)等で販売。
*配送希望の場合は、JAGDA Online Shopで受付中です。
「ヒロシマ・アピールズ」ポスターとは
1983年、第1回作品として、当時JAGDA会長の故・亀倉雄策氏による「燃え落ちる蝶」を発表。その後1990年まで、毎年JAGDA会員1名がボランティアで1点ずつ新しいポスターを制作。ポスターは広島市長への贈呈のほか、1985年にスイス・ジュネーブでの米ソ首脳会談前に開かれた原爆資料展、1997年の欧州ヒロシマ展で紹介されるなど、海外でも反響を呼びました。戦後60周年を迎えた2005年に制作を再開し、平和市長会議の加盟都市への寄贈や2016年G7広島外相会合プレスセンターでの展示、2019年に広島を訪日したローマ教皇への寄贈など、海外に向けて平和を希求する心を発信し続けています。
主催:
協力:
凸版印刷株式会社(印刷方式:プロセス4色印刷)
株式会社竹尾(使用紙:ホワイトピーチケント-FS 四六判Y目160kg)
歴代制作者:
1983 亀倉雄策/1984 粟津 潔/1985 福田繁雄/1986 早川良雄/1987 永井一正/1988 田中一光/1989 勝井三雄/1990 石岡瑛子/2005 仲條正義/2006 佐藤晃一/2007 松永 真/2008 青葉益輝/2009 浅葉克己/2010 長友啓典/2011 遠藤 享/2012 奥村靫正/2013 葛西 薫/2014 井上嗣也/2015 佐藤 卓/2016 上條喬久/2017 原 研哉/2018 服部一成/2019 澁谷克彦/2020 渡邉良重/2021 大貫卓也/2022 佐藤可士和/2023 中村至男