ヒロシマ・アピールズ 1984
制作コメント
昨年のポスターは、「燃え落ちる蝶の群れ」という象徴的な主題でありました。今年、1984年は、明るく、しかし力強いものにしたいと考え、「様々な鳥たち」を主題にしました。
ピカソの友人であったパブロ・カザルスの「鳥の歌」という、スペインのカタロニア地方に伝わる民謡をもとにして作曲された曲があります。その中でカザルスは、「鳥たちが、ピッチ、ピッチと鳴くのを聞くと、それが、PEACE!! PEACE!! と聞こえてくる」といっています。
私は、その曲にたいへんうたれ、そこから、インスピレーション(霊感)を受けました。それ以来、わが家の庭にやってくる鳥たちをスケッチしたり観察するようになりました。鳥たちを眺めていると、それが、とても人間の姿のようにも思えてくるのでした。このポスターは、17羽の鳥たちを描いていますが、人間のようにも感じられるように描いてあります。年老いた鳥もいれば、幼き鳥もいます。目をパッチリ開き、口をあけ、何か叫んでいるように描きました。鳥たちが、何をいっているかは、このポスターを眺める人が、想像するとよいと思います。
このポスターの愛称は、LOVE PEACEとよぶことにします。平凡な言葉かもしれませんが、人間の永遠の願望があると信じます。
「ヒロシマ・アピールズ」ポスターとは
公益社団法人日本グラフィクデザイナー協会(JAGDA)と財団法人広島国際文化財団が1983年、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴えるポスターを共同制作、内外に平和を呼びかけるキャンペーンの構想を発表。同年に第1回作品として、当時JAGDA会長だった故亀倉雄策氏の「燃え落ちる蝶」が発表され、その後8年間、毎年1点ずつ新しいポスターが制作されました。
サイズ:B1(728 x 1,030 mm)