「ヒロシマ・アピールズ」ポスター2025の制作者は、北川一成氏に決定
JAGDAは、広島国際文化財団およびヒロシマ平和創造基金との共催により、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴えるポスターキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施しています。毎年JAGDA会員1名がポスターを制作し、広島市長に贈呈するとともに、国内外に広く頒布することで平和を希求する活動です。
2025年の「ヒロシマ・アピールズ」ポスターの制作者が、北川一成氏(東京)に決定いたしました。ポスターは7月9日(水)に公開予定です。
*2005年以降のポスターはJAGDAオンラインショップで販売しています(税込1,100円/1枚+送料)
制作にあたって:
『ヒロシマアピールズ』のポスターでは、亀倉雄策さんの『燃え落ちる蝶』(1983年)や早川良雄さんの『子供と鳩』(1986年)が特に印象に残っています。学生時代に拝見し、その独特な構図や日本らしさに大いに触発され、いつか自分もこんなポスターを作りたいという思いを抱きました。これまで広島を訪れたことはなく、修学旅行も長崎で、平和祈念像を訪問しましたが、中学時代、担任の先生が原爆について自ら調べ、毎日のホームルームで語ってくださったおかげで、戦争の悲惨さと平和の大切さを学びました。
1983年の亀倉さんのポスターを見たときは、こんな作品を作りたいと思い、2013年に葛西薫さんの作品を見た際にはすぐにご本人に連絡を取り、その素晴らしさをお伝えしました。さらに、2020年に渡邉良重さんの作品を拝見したときも、もし自分が制作したらという思いが一層強まりました。
私は戦争を直接経験しておらず、父も幼かったため出征等もしていません。しかし、曽祖父母からは戦時中の厳しい現実や子どもを失った悲しみを聞き、さらに日々の食事に対しても厳しく戒められました。また父からは姫路での空襲体験などの幼い頃のエピソードを聞かされ、戦争の現実とその恐ろしさを実感しながら育ちました。さらに、ウクライナ情勢や中東の対立など、ここ数年、戦争というものを肌で感じる中で、平和の大切さを改めて痛感しています。戦争は人が引き起こすものですから、防ぐことができるはずであり、平和な環境があってこそすべてがうまく進むと信じています。
1983年から抱いていた平和ポスターへの気持ちは単なる理想ではなく、現実を見据えた目標へと変わりました。今回、ポスター制作の機会をいただけたことは大変光栄であり、自分の内面をしっかり整理し、表現したいと考えています。
(北川一成)
制作者プロフィール:
1987年、筑波大学卒業。
2024年、「KAMIZU」で第26回亀倉雄策賞を受賞。
2004年、フランス国立図書館に、“近年の印刷とデザインの優れた本”として多数の作品が永久保存される。
2008年、グラフィックアーティストとして世界三大芸術祭“FRIEZE ART FAIR”に出品。
2011年、パリのポンピドゥー・センターで開催された現代日本のグラフィックデザイン展の作家15人の1人として選抜される。
AGI(国際グラフィック連盟)会員。ADC賞、TDC賞、JAGDA新人賞など受賞多数。NY ADC賞、D&AD賞等国内外の審査員を歴任。テレビ出演にNHK「新ビジネス伝説・ルソンの壺」、テレビ東京「カンブリア宮殿」等他。
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