第23回亀倉雄策賞:選考経緯・展覧会情報(2021.11.24更新)
受賞者:田中良治
受賞作:タイプディレクターズ団体のインタラクティブデザイン「Tokyo TDC ウェブサイト」(cl:東京タイプディレクターズクラブ)
作品発表:年鑑『Graphic Design in Japan 2021』(2021年6月発行予定/六耀社刊/予価16,500円)
展覧会:第23回亀倉雄策賞受賞記念 田中良治「光るグラフィック展0」
2021年6月22日(火)〜7月28日(水) 東京・クリエイションギャラリーG8 詳細
2021年12月4日(土)〜12月12日(日) 新潟・新潟県立近代美術館 ギャラリー 詳細
選考経緯
1. 第1次選考(2020年11月25日、12月8日)
・年鑑『Graphic Design in Japan 2021』掲載作品選考会において、全国のJAGDA会員から出品された全1,804作品を対象に、カテゴリーごとに年鑑選考委員が候補作品を選出。
・ 今回の年鑑選考は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、選考委員29名を3チームに分け、各チームが3つまたは4つのカテゴリーの選考を担当した。亀倉雄策賞候補作品の選出についても、得票上位作品を対象に、チームごとに、カテゴリーにつきひとり3票の用紙記入方式で、亀倉雄策賞にふさわしいと思われる作品に投票。(全票投票/出品会員名は非表示/自身の出品作品には投票不可/得票上位にある過去の亀倉雄策賞受賞者作品は対象外)その結果、全カテゴリーを通して31作品を選出した。
2. 最終選考(2020年12月15日)
・ひとり(1組)あたり1作品を候補とするというルールに従い、複数作品が候補に挙がった出品者については、選考委員の多数決で各1作品を選び、以下の27作品を最終ノミネートとした。
・選考委員9名がひとり3票を持って投票と討議を行った結果、上位4作品(岡崎、田中、三澤、水野の作品)が候補となった。決選投票では2作品(田中、三澤の作品)が接戦を見せたが、過半数の5票を獲得した田中の作品が選ばれた。
・受賞作品は、文字の視覚表現を軸に国内外へ向けて様々な活動を行っているNPO法人・東京タイプディレクターズクラブのウェブサイトのデザイン。会員名簿や年度別受賞作品ページを中心に、シンプルかつスムースに設計されているが、スクリーンセーバーとしてデジタル時計が大胆に画面を覆うように現れる。時計の数字は、会員のデザインによる個性的な書体がランダムに表示される仕掛けになっている。「スクリーンセーバーの仕掛けが目立つが、むしろウェブを成立させるディテールの繊細な作り込みに彼の本質がある」「ウェブサイトは情報のデザインであり、作る人のセンスが特に問われる。ヴィジュアルな魅力だけではない奥深さがある」「ベーシックな部分が気持ちよくデザインされていて、特異な仕掛けも落ち着いて見ていられる。未来を感じる」と評された。また、最終候補にはならなかった田中のもう一つのウェブサイト作品も評価が高かった。なお、インタラクティブデザイン作品への授賞は初めてとなる。
・三澤は前回に続いて僅差で受賞を逃したが、1枚の大きな板に無数の紙の小片を収め、ものともの、ものと空間の関係性を問う展示空間は高く評価された。スケールの大きな表現に、今後が期待される。
*最終選考委員会メンバー
・亀倉雄策賞運営委員=永井一正(選考委員長)、浅葉克己、葛西薫、佐藤卓、仲條正義(当日欠席)、服部一成、原研哉、松永真
・ゲスト選考委員=小池一子(当日欠席)、室賀清徳、山本容子
候補作品(氏名五十音順)
・パッケージ 「LISSAGE Milk Oil miffy Design」(石川 耕 cl:カネボウ化粧品)
・映像 「歩くの歌」(石川将也 cl:NHKエデュケーショナル+ユーフラテス)
・ジェネラルグラフィック 「瀬戸酒造 ブランドブック」(イシザキミチヒロ cl:瀬戸酒造店)
・ジェネラルグラフィック 「Echo after Echo:仮の声、新しい影」(石塚 俊 cl:東京都現代美術館)
・環境・空間 「mt art project」(居山浩二 cl:カモ井加工紙)
・映像 「STUDY」(岡崎智弘/自主制作)
・ブックデザイン「さざ波の記憶」(岡本 健 cl:安西水丸事務所)
・ブックデザイン「Circle & Rectangle」(柏崎 桜/自主制作)
・ジェネラルグラフィック 「Okada Takuro + duenn『都市計画 (Urban Planning)』」(加瀬 透 cl:スペースシャワーネットワーク)
・複合「デザインの耳」(金坂義之/自主制作)
・複合「新宿 北村写真機店」(木住野彰悟 cl:キタムラ)
・新聞広告「クタベ画を描こう」(木下芳夫 cl:北日本新聞社)
・インタラクティブデザイン「POPFES カウントダウン」(木村浩康 cl:アミューズ)
・CI「JAPAN SUPER RUGBY」(窪田 新 cl:ジャパンエスアール)
・パッケージ「やきいか安兵衛漬」(白井剛暁 cl:佐々木食品)
・パッケージ「まなうどん」(角 和輝 cl:エヌ・アイ・プランニング)
・インタラクティブデザイン「Tokyo TDC ウェブサイト」(田中良治 cl:東京タイプディレクターズクラブ)
・ブックデザイン「へそまがり」(田部井美奈 cl:宝島社)
・映像「CHORO Special image movie」(西川友美 cl:ロッカ・シュピール)
・複合「GOOD GOODS CARAVAN」(野間真吾 cl:イッセイ ミヤケ)
・ポスター「女子美術大学大学院 &3年次編入・短期大学部専攻科 学生募集」(林 規章 cl:女子美術大学)
・環境・空間「カタチとくらし」(藤井北斗 cl:すみだ水族館)
・新聞広告「水と生きる」(藤田佳子 cl:サントリーホールディングス)
・ロゴ「石井工務店」(本間 亮 cl:石井工務店)
・環境・空間「POSIT もしもを置く たとえばを収める」(三澤 遥 org:日本デザインコミッティー)
・ポスター/複合「中川政七商店」(水野 学 cl:中川政七商店) *同一テーマのため、ポスターと複合を一連の作品として対象とした
・雑誌広告「Human! FIT」(八木義博 cl:本田技研工業)
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